言葉にしてもらう | 佐藤 理絵
主体性がある人たちの集団がやったぞ、という感じにならないと。
福岡さん そうじゃないと、いつまでたっても「起きない」んですよね。下から起こしていかないと。誰かが言ったことを、みんなで分担してやるのって簡単なんですよ。みんなが同じ目標に向かっていくことって、すごく簡単なんですけど、でもそれって一回終わったら次はなくて。またリーダーが同じことを言ってくれないと、そこへは行けないんで。
それよりかは、何回この下地づくりをして、その人たちがどういうことに気付いたか、どう思ったか、それについて「そうですよね!」と言って、また次の段階に進むというほうが、街のためにもなるのかなと思います。「参画系(サンカッケー)」なんで。
主体性のある人を立ち上げていく…それは地味で時間のかかる仕事ですよね。それを続けていった先に、どういう未来を見ていらっしゃいますか?
福岡さん ずっと思っているのは、今まであった地域の縁、会社の縁、血縁…といったものが、どんどん薄れていっているじゃないですか。人との縁があると、自分の持っている知識や技術が、どんどん交換できるんですよね。そういうことって、かつてはずっとあったことで、私たちが子供の頃に持っていたようなものが、どんどん廃れていっていて。
特に私たち30代って、横の繋がりがあまりないんですよね。会社の中での「私」とか、どこかに所属している「私」とか。組織の中での役割みたいなものはあるけれど、それを全部取っ払った後に残る繋がりというものがないので…あなたが持っているものを私は欲しいし、私が持っているものをあなたにもあげたい、そういう関係性を作れたらいいな、と思っているんですね。
そうすれば、人ってピックするところが多くなって、独りにはならないんですよね。会社で仲間が居なくても、地域に知り合いが居なくても、趣味でも何でもいいので人のネットワークを持っていれば、社会の中で堕ちていかないと思うので、そういう関係性はずっと作り続けていきたいですね。色々な人が、業種とか性別とか年齢とかを超えて、知り合っていくのが「豊か」かなと思いますね。
佐藤さん 仕事としては、他の人に出来ないこととか、企画とか、それを業務としてするというよりは、それをコーディネートするとか、うまく動くように考えるとか、他の人の足りないところに私たちが入って、「今まで思っていたけど出来なかった」というようなことが、私たちと一緒になることで出来ていく、というのが理想ですね。そういう社会を見たい。
広告とかでもそうだと思うんですけど、業者に任せるのは簡単だけど、「他のやり方もあるんじゃないかな?」というようなことを考えるきっかけを作ったりとか、一緒に考えたりとか。その人たちも新しいことをして、私たちもプロジェクトごとに仕事が違うので、そういうことをやっていけたらな、と思います。
[写真・文/OURSELVES 取材協力/カタログサンカッケー]