人が好き | 岡崎 淳子

前半(VOL.25)はこちら

気分の浮き沈みはあるほうですか?

淳子さん あります、私は。サービス業って辛いですよね。自分のプライベートで何かあっても、仮面を被らないといけないというか(笑)

そうですよね。

淳子さん 本当に難しかった。若いときは、顔に出ていただろうなって思います。難しいですよね、自分の気持ちを押し殺して、笑っていないといけないとか、お話を聞かないといけないとか。

そういう波があって、自分の気持ちが落ちていると感じたときに、それを立て直すような手段は持っていらっしゃいますか?

淳子さん それは仕事中?それとも一日が終わった後で?

どっちも伺いたいです。

淳子さん 仕事中は、落ちてるときは「お金にならない。売り上げ売り上げ!」って思いながら…本当に父親に似ているんでしょうね(笑) 食べるためには弱っていてはいけない、という風に気持ちを切り替える。

ほおー。

淳子さん で、そうやって一日を乗り切ったら、もう仲の良い友達と飲みに行くしかないですね(笑)

お酒で(笑)

淳子さん 年末なんかは、もう親には言えませんでしたけど、めっちゃ忙しいけど朝の4時・5時まで飲んで、フルで仕事に行きましたね。4日ぐらい連続で(笑)

凄いですね(笑) それは、そうしたほうが元気が出るんですか?

淳子さん 出るんでしょうね。で、朝ユンケルを飲んで。

春代さん もう、馬鹿みたいにユンケルを飲むんですよ(笑)

なんでしょうね、自分を慰めたり優しくするよりは、ビシビシ鞭を打っていく感じなんですね。

淳子さん あ、私はそういうタイプかもですね。

自分を追い込んだほうがパワーが出る。

淳子さん 確かに、そうかも知れない。変な話、一人でやってるじゃないですか。だから、お昼ご飯を食べたかったら、お昼に予約を入れなければいいんですよ。でも、自分の中で売上を優先するんでしょうね(笑)「入れられるんだったら入れなきゃ」と。私はどちらかというと、そっちのタイプですね。「駐車場に車が一台二台停まってないとおかしいやろ」って(笑)でもスパルタ?いやでも自分に甘いときもありますよ。洋服を買いに行ったときとか、本当に甘いと思う(笑)

自分にも飴と鞭を使い分けて(笑)

淳子さん お店に居るときは鞭だけど、外に出たら飴かも知れない(笑)

春代さん 今の質問は「落ちたときにどうするか?」でしたよね?

そうですね。

春代さん 落ちられる人が羨ましいですね。私は他の人を上げないといけないので、落ちられないんです。親子で居るときは、真ん中に立って板ばさみじゃないですか。で、男の人って単純で弱いんですよね。売上が良かったら俺様、悪かったら「どうしようどうしよう」(笑) だから、20数年間、落ち込めないですよ。だから、落ち込めて「自分は可哀想」と思える瞬間がある人は、羨ましいです。

20数年間、そういうことは考えない。

春代さん 常にアップさせる。

他の人をアップさせる。

春代さん そう言うと、凄く良い人みたいですけど、そうしないと男の人が落ちちゃうので(笑)

それは従業員の方に対しても同じですか?

春代さん 従業員は、お給料の範囲だけと割り切って働く人も、それ以上に働いてくれる人も、色々居ましたけど…従業員の方から、私たちは上げてもらったんですね。だから、私が上げて上げてきたのは、主人かな(笑)

先ほども言いましたが、今はイモの子を洗うように美容室が増えているので、いつも「今日も最高の接客で頑張ろう。」というのは、それはもう当たり前じゃないですか。どの店もそうやってやってきたと思うので。

今、私がお店の鍵を開けるときに、一番自分に言い聞かせているのは…初めてのお店に行くときは、レストランでも、ブティックでも、病院でも、初めてドアを開けるときってすごく勇気がいるじゃないですか。だから、美容室もそうなんです、厚南の立地条件の悪いところに、噂を聞いて来てくださった方が、初めてドアを開けるときに、「このドアを開けて良かったな」と思える接客。もちろん今までのお客さまをそっちのけで、というわけではないですけど(笑)