弱くても大丈夫 | 臼杵 万理実

絵画教室の生徒さんは、どうやって集めているんですか?

最初はもう本当に、知り合いのお子さんに教えるところから始まったんですけど、そこから知り合いの知り合いの・・・みたいな感じで増えたりとか、フリーペーパーに広告を出していて、それを見られた方とか。あとは「第6回やまぐち新進アーティスト大賞」を受賞したときのコメントを見て、電話してきてくださったりとかして。

なるほど。自然と生徒さんが増えていった感じなんですね。

そうですね。

ご自分の好きな絵を描くときと、依頼のお仕事で絵を描くときとで、スタンスの違いみたいなものはありますか?

そうですね。自分で好きに描くときは、自由に描いているんですけど、やっぱり依頼されたお仕事は「こういう感じがいい」という希望に忠実に、依頼主にいちばん喜んで欲しいので、それを大事にしながら描いてますね。そういう違いがありますね。

依頼の仕事は、依頼主の要望がはっきりしている。じゃあ、自分の描きたい絵を描くときは、なにか一貫したテーマのようなものはありますか?

そうですね、女の子を描くのが好きで、すごく弱いところを「弱くても大丈夫」というようなことを、伝えたいという気持ちで描いていることが多いです。

私が拝見したときに気になったのは、仰るように女性をモチーフにした作品が多いというのがひとつと、みんな浮かない顔をしているというのと(笑)、ブルーを基調にした作品が多いですよね。

そうですね。なんかこう、静かな空間を描きたいことが多くて、それで青が増えていったような気がします。表情は観る人がどのようにもとれるように無表情に近いことが多いです。何を考えているのか、どんな気持ちなのか、観る人に想像してもらえたらうれしいです。

なるほど。それと、雨をモチーフにした作品も多いので、勝手に梅雨にお生まれになったのかな、と想像していたら・・・8月生まれだったので「あら?」って思って(笑)

期待を裏切ってすみません(笑)

雨をモチーフにしているのは、何かの原体験が影響しているんでしょうか?

雨の日が好きなんでしょうね。雨の日は「のんびりしてもいいよ。」と言っているようで、落ち着きます。

昔からそんな感じですか?

そうだった気がします。紫陽花も好きで、それで紫陽花の絵も多かったりしますね。カタツムリを人間に見立てた絵も描いていて、自分のペースで前に進んだり、立ち止まって殻に入って、また出てきて動き出す姿にも惹かれます。そんな感じで、雨の絵が増えていきました。

静かな空間を描きたい、という部分にも繋がるのかも知れないですね。

あ、そうかも知れませんね。

雨の日って、日常のノイズが雨音に掻き消されて、ちょっと気持ちよかったりしますもんね。

そうですね。雨の音とか匂いも落ち着くので好きですね。

作品が完成したときって、「できた!」という感じはありますか?

「完成」という感じはあります。あまり手を加えると、ある時点ですごく説明しすぎの、窮屈な絵になってくるというか。だから、割と空間が多い絵が多くて、描き過ぎないというか、見る人が想像できる余地がある絵を描きたいので、「できた」と思ったらもう描き加えたりはあまりしないですね。

あまり描き過ぎない。

ということが多いですね。