かわいくて、楽しいもの | 安藤 僚子

お仕事を始められた経緯については、マイコミジャーナルの「クリエイター100選」という2010年の記事にまとめてありましたね。

何て言ってました?

えっとですね、高校の頃に美大を志望されて、デッサンの勉強をしていくうちに、空間に興味を持たれたと…

あ、はい。もともと、絵を描いたり、物を作ったり、図画工作みたいな授業が大好きで。絵も好きだからいっぱい描いていて、ちょっと良く描けるので先生にも褒められて、嬉しいじゃないですか。で、美大に行こうという思いは幼いころからありました。

美大と言っても色々科があるし、「お前は画家になるのか?」と父に問われた時、初めて絵が好きで物を作るのが好きな自分が出来る職業って何だろう?ということを考えたんです。で、最初は平面だった興味が、立体になり、だんだん大きくなって空間になった・・・というのはありますね。そんなこんなで、美術大学の建築科に。

学生の頃は、図面を描いたり、建物の構造を考えたり、論理的にコンセプトを構築したりと、がっつりとした建築を学んでおりました。

なるほど。取っ掛かりとしては、自分のお好きな図画工作だったり、絵だったりを活かせる仕事はないか?という…単純にずっと絵を描いていきたい、というよりはもうちょっと現実的な考え方だったんでしょうか?

そうですね。絵が好きなのか?と問われたときに、別に絵を描くという行為だけが好きだった訳ではなく、何か作るのが好きというものの延長で、色々な”つくる”があって、じゃあ何を作るのに興味があるんだろう?と。あとは、もちろん仕事として自分がやっていけるんだろうか?と思ったときに、デザイナーというものに興味を持ったというところで…何かを作ることが楽しい、という感覚が根底にある、という感じでしょうか?綺麗に言うと(笑)

そのなかで、特に興味を持ったのが空間だった、と。

そうですね。色々な人のアドバイスもあって、最初はグラフィックのほうにも興味を持っていたんですけど、大きいものを作る…人が作れるもので最大のものって何だろう?と思っていくと、どんどん空間や建築になっていって。空間って、例えばここでも、木があって、光があって、構造物があって、そこを使う人とか色々なものが複合的に入ってきて、すごく広いもののように感じて。そういう空間を作るって、どういうことなんだろう?という興味がだんだん生まれてきて、建築をやってみようと。

興味の対象が、だんだん大きいものに。

そうですね。基本的な性質が好奇心旺盛型なので、どんどん興味のあることが広がって、広がった先が大きくなっちゃった…といったところはあるかも知れない(笑) で、インテリア事務所に入ったというのが、今の仕事に繋がる直接的なきっかけです。

それまでは、結構インテリアって…業界的に、建築のほうがゼロから大きなものを作って、インテリアは表層的なもの、みたいな、インテリアはちょっと馬鹿にされる…というような風潮があって、私も最初は「嫌だな」と思っていたんですけど、やってみたら凄く面白くて。

より人に近かったり、元々自分にあった絵を描いたりグラフィック的なものとの連動も多いし、あとはどういう風に人に関心を持ってもらうか?とか、どうやって「ここの空間いいね」「このお店可愛いね」と思ってもらうか?とか、ただ自分が美しいものを作るだけじゃない、人との関わりをデザインしていくというところがあるので、そういうところが面白いと思うようになって「インテリアをやろう」という覚悟を決めた、というようなところがあります。