手に人生が出る | 千々松 葉子
大学在学中は、どういった勉強をされていたんですか?
24時間365日、入試の日以外は製図室(1人に1台の製図台がある広いスペース)が空いている大学だったので、講義にはあまり出席しないけど大学には居る、という感じでした(笑)三年生になってからは研究室に入り浸りで…
勉強が面白かったんですか?
勉強というか、毎月設計課題が与えられて、課題のために、調べものをしたり意見を出しあったり議論したり…勉強が好きというよりは、楽しかったから居ました。3年の後期からの研究室を選ぶ段階で、建築デザインは無理だな…と建築の中でもIT系の分野がひとつだけあったので、そこに入りました。
建築でIT系というのは、どういう内容なんですか?
ファシリティ・マネジメント、オフィスの研究、と3分野があって…その中に”建築におけるITの利用”について研究する分野もあったので、私はそこを目指して入りました。ちなみにその研究室の女子生徒は、学部卒でも毎年決まった上場企業に入社していたので、「これで就職活動しなくてもいい」と思っていた。でも私の代とひとつ下の代だけ、募集自体がなかった。研究室は楽しかったけど、4回生の8月になっても「あれ、就職先ない?」となった(笑)
就職氷河期世代ですよね。
そうなんですよ。当時の就職氷河期の一番底。男子学生は、成績はあまり関係なく学校推薦で建築系の就職先があったんですけど、学部卒の女子学生はトップ3でもない、と言われるくらい厳しかったですね。
なるほど。
で、研究室の担当教授の紹介で、まちづくりのコンサルタント会社に入社。会社にまちづくり関係の仕事がなくなった時期だった。私は入社した途端にシステム開発要員になったんです(笑)
でも、それが向いていたみたいです。当時25人ぐらいの会社だったので、最初は作るだけが、そのうちお客さまのところに連れて行ってもらえるようになって、仕様の打ち合わせも出来るようになって、見積もり、提案も出来るようになりました。全部の工程を経験できたので、独立するにはちょうどよかった。
小さい会社なりの良さがすごくあって、アットホームな雰囲気で「今日も徹夜で頑張るぞ!」の職場でした(笑) 大学の製図室や研究室の延長みたいな感じで、事務所に寝泊りしたり…自分のデスクの下にいつも寝袋がありましたからね(笑)
(笑) そういう体育会系のノリはお好きなんですか?
好きだと思います。ただ、仲間とワイワイするのが好きなわけではなく、プロジェクトなど「成し遂げる何か」があって、それに向かって頑張るのが好きなだけで、何もない中で騒ぐのが好きなわけではないかな。
なるほど。馴れ合いでワイワイするのが好きなわけではない、と。そこには5年お勤めになったんですね。
そうですね。5年勤めて、山口に帰ってきました。