感じていることを掘り下げる | 佐藤 理絵
そろそろお時間なのですが、自分が生きているうえで大事にしていること、こだわっていること、譲れないもの、そういうものを言葉にするとしたら何でしょう?
「縁」と「会話をすること」だと思っています。自分が明るくハツラツでないといけない、とも思わないですけど、「相手は何が欲しい?」とか「自分が何を与えられるか?」は、話しながら考えたいし、そういうところですかね。
会話をするときは、自分が沢山話すほうですか?それとも相手の話を沢山聞くほうですか?
自分のことは、こういう機会でもない限りほとんど喋らないです。自分のことを言葉にするのがあまりにも下手って言われるんです、ラジオパーソナリティのくせに(笑) 人の話を聞くことは潜在的に得意なんだろうと言われるんですけど、自分を言葉で表現することはあまりにも下手。だから、話すときは聞きます。会話をします。
相手が言ったことで、ずっと話を続けていけると思います。「何でそう思うの?」とか、そういうところを掘り下げていく。掘り下げ方としては、経験とか経緯とか職歴とかそういうところではなくて、その人の感じていることを掘り下げたいと思う。「どういう事情があって、どういう展開があって、どうなったの?」とかよりは「そこでどう思って、どういうことをしたの?」とか、そのときの気持ちの動き方でその人を見る、みたいな。そういうことが多いような気がします。それが結局、その人を形づくるものだと思うので。
仕事をするときも、そういうものが影響するし、そこをサポートできたり、別の角度から何か出来ることが見つかるかもしれないし。「不得意なところをフォローします!」みたいなことも思ってないです(笑) ”感じ方”がその人を形づくっているんだろうな、と思います。感覚です。技術がないので、感覚です。
でも感覚には自信がある。
話をして、感じ取る。…第六感?
第六感?
ちょっと言い過ぎました(笑)
人の話を誤解なく聞ける、という部分には自信があるような気がしますね。
そうですね。察するとか空気を読むとか、そういうのが割と得意だとは思います。「きっと今、こういうのが欲しいんだろうな」とか「きっと今、こうやってるけど、こう思ってないだろうな」とか、話をしながら勘付けるほうだとは思います。
今日もそういうことを考えながら喋ってますか?
今日は全部口に出してます。「こういうのが欲しいですよね?」とか言ってるじゃないですか。だから、今は割と真っ白です、頭の中。準備しないんですよ、何でも。準備すると崩れるんです。
シナリオがあると上手くいかないとか?
求められる結果の形が決まっていたら、もう無理です。以前、舞台挨拶をしたんですけど、何を話すかとか、こういうスケジュールでとか、ある程度決めたほうがいいですよ、と言われて。あまりに初心者で、決めることも分からないし、自分で流れを作ることも分からないけど…その場に立つと、何となくここに居る人とお客さんとがほころぶ、みたいな空間は作れるんです。でも決めると、プレッシャーに弱いので緊張感で崩れる、という感じです。
着地点は決めずにとりあえず始めて…というほうが向いていると。
そうですね。結果はどういうかたちであってもいいな、と思います。「パーソナリティやってます」とか紹介されたら、ちゃんと喋らないといけないなとは思うけど、ほとんど真っ白な状態で喋る感じです。きっちり決めると、柔らかい表現とか、「ははっ」という空気感とかは出せないと思います。作りこんで人を巻き込む、みたいなのは無理だと思いますね。現場判断。
かっちりやるよりは、ほっこりした空気感を作るほうが得意なんでしょうね。
「結果はひとつじゃないよね」みたいな感じだと思います。だから、何があっても動じません、たぶん(笑) その自信はありますね。どんな環境に置かれても基本は動じない、冷静だと思います。わたわたはするんですけど。…私ずっとこっち(右上)を見て話してますね。こっち側を向いて話す人って何でしたっけ?記憶を辿っているんでしたっけ?
えーと、どうでしたっけ?
左脳を使って考えているんでしょうね。(※右上を見ながら話すときは、左脳を使って論理的にものを考えているそうです)
ああー。言語化するのが難しいんでしょうね。
ラジオとか言葉でしか伝わらないのに、言葉が下手っていう(笑) 重病ですね。
たぶん、言語化できないところに、こだわりだったり、強いものがあるんでしょうね。今日お話を伺ってそう思いました。
想定の人と違いました?
違うような、違わないような…そういうぼんやりとしたイメージの人なんだな、というのが分かりました(笑)
哲学がないことが哲学、みたいな感じですかね?
その曖昧さが魅力なんだろうな、と思いました。
良かったです。
ありがとうございました(笑)
(笑) 他に何かないですか?何でもいいですよ。あ、独身です。
そういうのは要らないです(笑)
写真・文/OURSELVES 取材協力/茶屋OTTO