皮脳同根 | 神原 光未
そうですね。ちょっとお話を遡ってもいいですか?美容のお仕事を始められたのは、何かきっかけがあったんですか?
あ、やっぱり30代半ばぐらいから、目の下のシミが濃くなってきて…このまま何もしなかったら、汚い老婆になるのかな、何かしないといけないな…と思っているときに、ちょっと通っていたジムに、お肌の綺麗な男の子がいて。その子は、やっぱり自分でお手入れをしている、と。扶洋(現・株式会社フヨウサキナ)のチーフをされている方だったんですね。
結構マッチョでかっこいいんですけど、お肌もすごく綺麗で。その方は「自分は男だから、綺麗になりたいとは思わないけど、これ以上汚くなりたくない」と言っていて、私もそうだな…と。綺麗になりたいというよりも、汚くはなりたくないな、と。で、そこのお手入れをし始めたのがきっかけですね。
なるほど、それがきっかけなんですね。
で、そこでチーフまでなって、じゃあ所長さんになりたいのか?と考えたら、そういうわけでもなかったので。
そこから自宅サロンを始められたんですね。お客さまはどうやって集められたんですか?
サロンのお客さまは固定客が多いのですが、1年~2年ぐらいで「リペア」といって色足しに来られるんですね。そういう方が半分と、あとは新規のお客さまですね。結構「ホームページを見て」とか、最近はFacebookのお友だちが「母がとても興味を持っているんですが、母と一緒に行ってもいいですか?」とメッセージを頂いたり。すごく嬉しいですね。やっぱり、そういう悩みを抱えていらっしゃる方が多いんだな、と。
なので、最初は体験談の写真も、若い人ばかりを出していたんですけど、最近は年配層の方も出していってます。結構、年配の人も「ちょっと遠目だったらいいですよ」という感じで、あまり(写真を)撮られることに抵抗を感じられないようで、すごく自信溢れるいい笑顔を撮らせてもらってます。
それはやっぱり、綺麗になったことで自信が持てるようになった、ということでしょうか?
あ、そうですね。「まだまだいける」とか、「同窓会があるから、みんなに見せる」とか。そういうのが嬉しいですよね。私よく言うんですけど「人を輝かせることで、自分が輝く」という、この仕事が本当に天職だと思います。
人を輝かせることで、自分が輝く。
昔はね、美味しいものを食べて、綺麗なお洋服を着て、それが幸せだと思っていたけど、今は人に「ありがとう」「すごく嬉しい」と言われるのが、すごく心が震えるというか…変わりましたね(笑) 昔は本当にすごくお洋服とか、狂ったように買っていて、それはやっぱり心が満足していなかったからでしょうね。
買っても買っても満たされない。
そう、満たされない。タグが付いたまま使っていないバッグがあったり、本当に浪費癖が凄くて。それが離婚の原因ですかね(笑) 「お前が居なかったら、家が3軒建った」とか、よく言われますけど(笑) でも、今は本当にお洋服も着ないし、今日みたいにサロン着で来ても平気だし。心が満たされるんでしょうね、人から感謝をされると。少しは成長したかな、と(笑)
そういう風に感じるようになったのは、エステのお仕事をされるようになってからですか?
そうですね。うちは小さい頃から母が美容師で。近所の普通のお姉ちゃんが、帰りにはすごく綺麗になって、そこのお母さんもお嬢さんもすごく感謝されて喜んで帰られるのを見て来て、私も人を綺麗にする仕事をしたいな…というのはずっと考えていたんです。
そうなんですね。
で、うちは娘も婿さんも、みんな美容師なんです。美容一家なので。みんな美容の仕事が好きですね。
なるほど、潜在的にそういう思いがあって、エステを始められてから、改めて喜びが得られることに気付いたと。
そうですね。アートメイクをされた人は次回から、エステをされる方が多いです。そうすると、月に一回でも眉の調子を見せて頂くことができますし。特に、アクティブに動く人たちほど、アートメイクを必要とされるんです。忙しい女性が多いんでしょうね、今は。
ああ、そうかも知れませんね。
だから、忙しい女性の美のお手伝いをしていきたいですね。メイクが好きな人は、自分でされたらいいと思うんです。でも、プロの私でも、毎日、この眉を描けと言われたら、嫌ですね、忙しくて無理ですよ(笑)