寝ている間に生まれ変わる | 会田 玲奈
専門学校に入ったのは、どうしてですか?
まあ、高専で勉強したものの、自分はこの道には向いていないな、と気付いて…ちょうど卒研で音響関連の研究をしていたんですよね。それがすごく面白かったんです。なので、音響系の学校に行きたいな、と思って編入試験も受けたんですが、ことごとく落ちてしまい、どうしようかな…と思っていたところ、ちょうど見つけた専門学校が音響とか放送とか、そういうメディア系の学校で、面白そうだなと思って。とりあえず行ってみようかな…と、そんな感じで決めました。
そこではどういう勉強をされていたんですか?
そこでは、ケーブルの種類から、卓の使い方から、喋りの授業もあったので、習ったことを活かしてちょっとした5分番組を作ってみようとか、そういう感じの授業がほとんどでしたね。で、ぼんじさんはパソコンで使って作る音楽…Cubaseとかそういう音楽ソフトを使って曲を作る授業の担当だったんです
幅広いですね。
そうですね。その幅広さが良くて、その学校を選んだんです。他の専門学校は一つの事をより深く学んでいくのがほとんどでしたが、そこまで「これをやりたい!」というものがなかったから、そういう幅広い勉強ができるなら、そこに行ってみようかなと思って決めたんです。
なるほど。そこを1年間で休学されたというのは、どこかしっくり来ない部分があったんですか?
というか、授業がなかなか進まなくて。私たち生徒のレベルにばらつきがありすぎて、なかなか授業が先に進まない。1年間で予定していたカリキュラムの半分ぐらいしか進まなかったんですよ。で、それがつまらなくて休学したんです。そこで、ぼんじさんに声を掛けてもらって、お給料を貰いながら働けるなら、そっちのほうが勉強になるじゃん、と思ってFM AQUAに来ました。一応、休学というかたちをとっていたので、嫌だったら戻れるような態勢をとっていたんですが(笑) でも、面白かったからそのまま残りました。
そのときは、半年とか1年とか期限を決めていたんですか?
まあ、1年ですね。やっぱり何年も休学はできないので、1年後にどうするかを決めなきゃな…と思っていましたけど、そこまで長く掛からず「もう学校はいいかな」って思いましたけどね(笑)
それは実務の中で学ぶことのほうが多かった?
そうですね。他の先生も「専門学校は何かを習うというよりも、誰かとコネクションを作るために通うものだ、と考えたほうがいいよ。どうせ、学んだことがすぐに生かせるわけじゃなく、どこへ行っても一からやっていくわけだから。」という話をされていたので、じゃあそのために一年行ったと思ったらいいか、と。
確かに、学校へ行かなければ、繋がりは得られなかったわけですもんね。それは非常に前向きな考え方ですね。
そうですね。そもそも後ろ向きに物事を考えないので(笑)
(笑) 気持ちいいぐらいさっぱりしてますね。
ええ(笑) 「悩みないでしょ?」って言われます。ないわけじゃないんですけど、考えてもしょうがないか、というのが基本的なスタンスなので。
あまり長いこと悩みを抱え込まないんですね。
そうですね。抱え込まないというか、抱え込んでも解決しないじゃないですか。考えて解決するなら考えればいいと思うんですけど、考えても解決しないのに考えても時間が勿体ないかな、と。それよりは、失敗しても動いたほうが自分のためじゃないかなーと。
そのとき動ける方向に、とりあえず動いてみよう、と。
そうそう。そんな感じですね。それがたぶん、先ほどの”流される”という感じに映るのかもしれないですね、傍から見たら。
それはそうかも知れないですね。例えば、こうなりたいというイメージや目標がある場合は、そっちに向かっているかどうかを考えて行動すると思うんですけど、あまりそういう感じは受けないですね。
うん、それはないですね。あまり目標とかは…「何になりたいの?」と言われても、「何になりたいんだろうね…今が楽しければいいんじゃない?」みたいな(笑) 「もうちょっと上を目指さないの?」とか言われることもあるんですけど、まあ上には上が居ますからね。
今の話の流れからすると、司会やパーソナリティのお仕事というのも、特になりたくてなったわけではなさそうですね。
そうですね。最初は本当に嫌だったんですよ(笑) それでぼんじさんと喧嘩するぐらい嫌だったんですけど。状況的にそうなってしまい、次第に諦めて、もう受け入れるしかないか…という、そういう感じだったんですけど。まあ、受け入れてみたら意外と楽しかった、と。その、制作にこだわっていた時期があったんですよ。
制作。
もともと会社にも制作で入ったので、どちらかというと機械を操作したり、ものづくりをするなど、裏方のほうが好きなんです。表舞台に立つのは嫌でした。でも、ものづくりをするのと喋るのって、あまり違わないな…ということに、あるとき気付いて。特にラジオ局でのものづくりというのは、表現されたものをどう活かしていくか?ということですよね。表現する人が居て、それをどう活かすか?というのが仕事だと思うんですけど。喋る側にいくと、どう表現したいか?と考え方が変わるだけで、制作意欲とあまり変わらないんですよね。分かります?
もうちょっと詳しく伺ってもいいですか?
例えば、有るものを使って作るのと、無いところから何かを作るのって、一緒なんですよ。良いものを作りたい、という根本的なところは同じで、素材を組み合わせて作るのか、何も無いところから考えて生み出すのか、の違いなんですよね。極端な話かもしれませんが、作り上げるものは同じだけど、役者にまわるのか監督にまわるのか、みたいな。その根本的なところは一緒だな、ということに気付いてから、喋るのが面白くなりましたね。
手段が違うだけで、根っこの部分は一緒だと。
そうそう。
ご自身が楽しめる、根っこのポイントが分かったわけですね。
そうですね。何かを作りあげていくこと自体が楽しいので、視点が違うだけで、同じものづくりだと考えれば、別にどっちも楽しめるじゃん、と思えるようになってから、この仕事が好きになってきました。やっぱり根本は、いかに自分が楽しめるか?なんですけどね(笑) 面白くないと続かないと思いますし。