関係性の先にあるものをつくる | 福岡 佐知子

福岡さん 6年勤めて、辞めて…フリーランスになって丸3年ですね。

この3年はどういう風に過ごされたんですか?

福岡さん どういう風に過ごした。(佐藤さんに)どういう風に過ごしたか、話してない?

佐藤さん 「地域で事業を立ち上げたい」という話があって…という話しはしましたっけ?

あ、伺いました(Vol.6 佐藤さんのインタビューを参照)。それが3年前の話ですか?

佐藤さん 終わって2年経つんですっけ?

福岡さん それが2011年の11月ぐらいかな。私は地域で仕事をしたかったので、劇場で地域のコーディネートの仕事をしていたんですね。小学生と演劇の人たちとを巡り合わせたりといった企画をしたり。そんなところから、地域で仕事をさせてくれるという人が居たので…

佐藤さん そこが新しい会社を立ち上げるということで、私たちは別々に声を掛けて頂いて集まって…そのときが初対面です。

福岡さん そうそう。一人の経営者の一声ずつで出会い、3ヶ月ぐらいでその人が居なくなり(笑) 「どうする?」ってなって。元々、地域の仕事をやりたいという思いが自分たちの中にあったので、じゃあやりましょう、と。別にその人が居なくてもいいじゃない、と。

佐藤さん 最初はその事業をする、という目的もあったしハコもあったけど、それがなくなって「さあどうしよう」となって、それから自分たちの”得意なこと探し”と、地域の人との”関係づくり”を、1年ぐらいやってましたよね。

福岡さん そのときに、ちょうど「マイカラー」のお仕事が来たんですよ。「こういう営業の仕事があるんだけど、仕事がないんだったらやらない?」と、北九州のデザイン会社から声を掛けて頂いて。「やりますやります」と言って、ついこの間までやってました。

佐藤さん そんなことをしながら、ボランティアみたいなかたちで街づくりの人たちと関わり…二人ともよそ者なので。黒崎で商売をしていたわけでもないし、店を持っているわけでもない。ひとまず関係性を作っていくことだけを1年間、ただひたすらにやって…2年目からちょっとずつ、行政のお仕事とかが入ってき始めたんですよね。

福岡さん 「あんたたち、何もないんやったら、こういう提案をしてみんかね?」という感じで、何かこうステップを作ってもらうみたいな中で、「じゃあこういうことをしたいです」というようなことが、少しずつ噛み合ってきたのが去年の初めぐらいからかなと。そこから、去年はずっと忙しい感じで。まあ、お金にはあまりならないですけど、何かの仕事はしているという。

今、カタログサンカッケーとしてのお仕事って、お金になる仕事とならない仕事と、両方やっていらっしゃると思うんですけど。

福岡さん はい。

地域にコミットする仕事と、そうじゃない仕事も、並行してやっていらっしゃるんですか?

福岡さん そうですね。商業的なこともやっています。ひとつは、東京のほうに「チャリ本」という、集めた古本の買取金をNPOに寄付するような仕組みがあって、それを北九州でもやってみたいという相談を受けて、そのコーディネートとか。企業とNPOの真ん中に立って、その間を繋ぐような仕事をしています。

そういうお話は、どういう経緯で頼まれるんですか?

福岡さん それはですね、地域の若い人たちで集まって、黒崎のことを話し合おうという「黒崎ミライイ会議」というのを、行政の枠でやっているんですよ。これは元々、問題提起からこちらがしていて…商店街のおじいさんがですね、「若い人が一人も居らん」って言うんですよ。じゃあ、本当は居るんですよ、ということを証明するために、私たちがインタビュー調査に行きます、と。

50人の方にお会いして、「黒崎のことをどう思っていますか?」「何を思ってこの場所に店を出したんですか?」「今後どうなっていったらいいですか?」といったことを伺って、それをレポートにまとめて提出する、という活動をしていて。その中で出会った方からの依頼なんです。

なるほど。

福岡さん まあ、私たちに何が出来るか?ということを、皆さん分からないので、そうやってお付き合いさせて頂いたなかで、「こういうこと出来る?」という風に、ご相談頂くようなことが多いですね。

佐藤さん カタログサンカッケーの課題は…最近はやってきたことがあるので、「これ出来ます」というようなことが言えるんですけど、最初は「ない!」って言っていたんです。

福岡さん そう。「私たち、何もない。出来ることがない。」って。

佐藤さん 「商品がない」って。「コップ売ります」とかがないけど、でも何かやっていたんですよね。

福岡さん だから、最近の強みは「ビジネスモデルがない」のが強み。西京銀行のビジネスプランコンテストとか出たんですよ。で、ファイナリストとかにもなってるんですよ、私たち。

おお、すごい。

福岡さん でも、最終的に何が弱いかというと、ビジネスモデルがないんですよ。モデルがないから、誰も真似を出来ないし、量産が出来ないから、銀行にとってはあまりメリットがない。でも、私たちはこういう拠点があって、人と会うことで仕事を作っていく、ということをやっているので、そこが強みかな?と思って。

うんうん。