子供たちに伝える | DJ CAN

最初に、クラブに通うようになった頃のことは、覚えていらっしゃいますか?

もう10年以上前になるので…当時遊んでいた友達が、たまたまクラブみたいなところに連れて行ってくれたのが最初だったんですけど、そのときは全然楽しくなかったんです。多分、そのジャンルに興味がなかったんだと思うんですけど。

そのときは、どんな音が鳴っていたんですか?

そのときは、結構ハードな音だったような記憶が。ただうるさいところだな、という感じだったんですけど。その後いつだったか、また同じ知り合いに連れて行ってもらったところで、自分の知っている洋楽が流れていたんですね。10代の頃から洋楽を聴いていたので、やっぱり知っている曲が流れるとテンションが上がるんですよね。それで「あ、なんか楽しいじゃん」「大音量だけど楽しいな」という印象に変わって。もうそれから毎週通うようになって、逆にカラオケとか他の遊びをしなくなったんですね。

なるほど、ご自身が初めて「クラブが楽しい」と感じたときの体験を、逆に提供する側として若い人たちに感じてもらいたい、という思いが…

ありますね。

DJとしてのCANさんは、どういったところを目指していらっしゃるんですか?

そうですね…漠然としているんですけど、人気者になりたいです。

人気者?

やっぱり、みんなと楽しみたい…ということは、みんなに好かれないと、みんなと一緒には楽しめないので。なので、みんなに名前ぐらいは知ってもらえるようになりたいですね。

みんなというのは?

お客さんとか、先輩DJとか…もう、出来るだけ色々な人の目に触れるように、色々やっていきたいな、と思っています。

仲間内だけではなく。

そうですね、幅広くやっていきたいです。

そのための曲選びだったり…

そうですね。今回、ノートルダム(宇部の結婚式場。CANさんはウェディングドレスを纏ってファッションショーのDJを担当)のお話を頂いて、そういうのも絶好のチャンスなんですね。結婚式場でDJなんて…さらにウェディングドレスを着させてもらってDJさせて貰えるんで、全国的にみてもそういう経験を出来るDJって、滅多にいないと思うんですね。その機会を自分に頂いて、このチャンスを活かさない手はないな、と。

やっぱり、それは自分のひとつの売りにもなりますし、今後もしそれで他の結婚式場の方が「あ、DJいいじゃない」と思ってくれれば、全国的に結婚式場とDJのリンクが広がっていくと思うんですね。なので、何でもきっかけになると思うし。そういう自分のやっていること…たった一人でやっていることかも知れないけど、誰かの気持ちを動かせたらな…という思いで、ずっと色々やってみよう、と思っています。

今回の話は、先方から提案があったんですか?

そうですね。随分前に担当者の方から「ドレスを着てDJをするのって、どう思いますか?」という質問があって、「それ、凄く良いじゃないですか!」というお返事をさせて貰っていて。その後、当分そういう話が無かったので、やっぱり難しかったのかな…と思っていて。内心、ちょっと期待していたんですよ。やっぱり、ウェディングドレスが着られて、DJが出来て、ファッションショーがあって…って。DJとしても、女としても、すごく憧れの場所なので。ちょっと残念だな…と思っているところに、「急なんですが、来月やります」と。

そう言われたときに、正直ちょっと不安になったんですよ。私はクラブ以外でDJをしたことがないんです。静かなバーで、ずっとR&Bを流す…というような経験はあるんですけど、ファッションショーなんてTVでしか見たことないし、大丈夫なのかな…と思ったんですけど。「大丈夫です、自分もプッシュしていくんで。」と言ってくれたので…嬉しかったですね、話をもらったときは。

なかなかない経験ですよね。

ないですないです。有名な女性DJの方も沢山居るけど、ウェディングドレスのモデルはあるかもしれないけど、結婚式場でファッションショーのDJというのは、なかなかないんじゃないですか。そことのリンクがまず難しいんですよね。正直、固執しているというか…クラブ業界は一般から嫌われているぶん、逆に周りを気にしている部分も多少はあるので、他業種とのリンクは難しい部分があると思うし…だから、幅広くやっていこうと思うと、どんな人にでも知って貰えるように、仲良くなれるように…というのが、やっぱり一番ですね。

アーティスト然として、自分から世界を狭めたりはしないんですね。

そうですね。今のところは、自分のやれることをやろう、と思って動いているので。頂いたお話は、自分の出来る範囲で、限りなく一番良い状態でやりたい。その分、色々なことがあるとは思うんですけど、自分がやれるうちはやろうかな、って思います。

CANさんとしては、DJは対価を頂ける仕事として、伸ばしていきたいと考えていらっしゃるんですか?

そうですね。もちろんDJに限らず、イベントオーガナイズも今年に入って始めさせてもらって、そこでも収入はあるわけで、音楽に関わることで生活していけたら、一番良いなと思いますね。それも、色々な手段があると思うんですよ。どこかのレーベルに入ったり、自分で事務所を作ったり、もしくはCDを売るというのもひとつの手段ですし…じゃあどれがしたいのか?というのは、今は何も自分の中に無いんですけど、でも幾つかある手段を視野にいれつつ、今後考えながらやっていければな、と思いますね。