子供たちに伝える | DJ CAN

なるほど…今日のインタビューの主旨としては、お仕事について訊かないといけないのですが、音楽の話をもっと詳しく訊いてみたくなってきて、ちょっと困っています(笑)

(笑) せっかくこういう機会を頂けたので…クラブ業界は、最近若手不足なんですよ。なので、DJとはどういうものかを知ってもらって、学生さんとか若いDJが増えてくたらいいな、と思うんです。

若い人が夜遊びをしなくなってますよね。

そうですね。最近は夜遊びをするような時代じゃないという部分と、やっぱりニュースなどでクラブ業界が一時とても非難されたので…それで客足が遠のいた、というのをひしひしと感じます。

今関わっていらっしゃるイベントでは、CANさんは年齢的にどのぐらいの位置なんですか?

ちょうど真ん中あたりです。私の周りで一番若い子が20歳ぐらいで、上は30~33歳ぐらいが多いかな、という感じなので…ちょうど真ん中あたりですね。

若手不足やクラブバッシングなどで、クラブから客足が遠のいている現状のなかで、ご自身が関わっていらっしゃるイベントは、どういう方向に向かっていけば良いと思っていらっしゃいますか?

そうですね…全部ひっくるめて、クラブ業界が盛り上がれば良いな…というのは、多分皆が思っていることで。どうやったら盛り上がるか?といったら、お客さんが来てくれないと盛り上がらない。じゃあ、そのためにどうしていくか?といったら、昔はフライヤーを手配りで、駅に立ったりとか、大学の前に立ったりとか、色々あったと思うんですけど、今はSNSの時代で、紙よりもデジタルフライヤーが重視されるようになってきたな、というのは感じるんですけど…

そこで、好きな曲ばかりを掛けていると、そのジャンルが好きな人しか集まらなくなっちゃうので、やっぱり幅広くやっていって、普段クラブに足を運ばないような人が来やすい環境を作りたい、と思うんです。例えば、私は周南で自分のパーティーをやっているんですけど…クラブではナンパなんかも多少あるので、女の子が逃げられる場所を作ろうということで「レディースシート」を設けてみたんです。女の子が「クラブがちょっと苦手だな」「ちょっと疲れたな」と思ったときに、休める場所を作ったり…そういう風にして工夫しています。

なるほど、ご自身のプレイがどうこうという部分だけじゃなくて、イベント全体がより親しみやすくなるように、という視点で取り組んでいらっしゃるんですね。

そうですね。結局、現場が無くなってしまったら何も楽しくないので、やっぱり現場の維持というのが、絶対条件というか最低ラインだと思うんですね。そのうえで、自分が出ているパーティーが盛り上がらないと、自分のCDなんかも売れないんじゃないかな…と。なので、まず自分が取り組むのは、CDを売ったりすることよりは、今立っている場所の改善…なのかなと思います。

なんというか、取り組み方が冷静というか、業界を俯瞰しているというか…元々は、自分を変えたくてDJを始められたわけですよね。

そうですね。

でも、今の取り組み方は、もっと広い視野で考えていますよね。

やっぱり、私には子供が居るので、子供が大人になったときにクラブが無くなっていたりとか、それが多分私にとって一番悲しいことなんですね。私が歩んできた道を、同じように歩めない子供たち…まあ、クラブには悪い要素も多いですけど、自分が楽しいと思うことを自分の子供にも伝えたいので、良い状態でクラブ文化を残していきたいというのは、DJとしても母親の視点としてもあるので、どうしてもそういう考えに至る、というか…

そうか、DJとして云々…という以前に、大前提として「クラブが好き」というのがあるんですね。

そうですね、はい。