無理をしない | 近藤 凜

私みたいに、オートレースに詳しくない人のために、先導車のお仕事というものについて教えて頂けますか?

うーん…イメージガール?

(日本トーター須堯さん) ボクシングで言えばラウンドガールのようなもので、レース前に走ってもらって、命を架けている選手を先導して走ってもらっています。ペース配分もあると思うんですけど、一般向けには選手紹介のときの先導なので、今からこの8名が走ります…という案内をする、という役割があります。なので、今から始まるレースに、花を添えるようなお仕事ですね。

レースに花を添える。

そんな感じです(笑) 昔は、1レース、2レース…という風に、バイクに旗を添えて走っていたんです。

なるほど、それだとよりラウンドガールぽいですね。今のお仕事の、どういったところに魅力を感じていらっしゃいますか?

私の仕事ですか?やっぱり、選手とお客さんとの間に居るドキドキ感、緊張感ですね。

それが魅力ですか?

魅力ですね。好きなことをやっていられるのが、一番かなと思って。

やっぱり、バイクに乗れるというのが一番?

そうですね。楽しいです。気が抜けないですね。

確かに、気が抜けないお仕事ですね。

はい、普段は化粧しないんですけど、オートに来たらばっちり化粧して。でも、厚いからおしぼりで顔を拭いて、最後らへんはもうスッピン状態(笑)

(笑) オートの仕事が、晴れの舞台なんですね。

そうですね。選手になりたい時期もあったんですけど、まだその頃は女性レーサーを募集していなくて。で、どんどん歳を重ねていくうちに、やっぱり選手は危ないし、誘導車は全国に6人しか居ないし、安全にこの気持ちを感じられるのは誘導車かな…と。誘導する前に、オートレースを見て、ドキドキ緊張感を増して、「よし頑張るぞ!」と思ってから、出てますね。やっぱりレースが好きなので、見てますね。どの選手が走っているのか、ヘルメットやタンクの塗装の色、走り方などで大体見分けがつきます。

そのぐらい、熱心に見ていらっしゃるんですね。お仕事だから…ということではなく、本当にお好きで見ていらっしゃるんでしょうね。

そうですね。

いいですね。良い職場に出会ったんですね。

そうですね。このオートに出会って、友達も増えて、アマチュアオートの方に出会って、それからハーレーを買って、ツーリングしたりして。飲みに行ったり、ツーリングに連れて行ってもらったり…この夏、高知県で「よさこい祭り」があるんですよ。それに乗せて行ってもらう予定です。

お友達は、バイクで繋がっている方々ですか?

そうですね。お父さん年代、60歳前後の方々です。だから、色々なことを教えてもらえますね。それをよく聞いて、実行しようと。まだ半分しか生きてないから、年上の言うことをよく聞いて、これからの自分に役立てていかないと…失敗するばかりだったらダメかなと。だから、人の言うことを聞いて。

失敗は多いほうですか?

はい。怪我をしたり、お店も休んでいたり、悩むことは沢山ありますね。あるけど、みんなに支えられて、ここに居られるんだな、と思うことがよくあります。こうやって取材も受けさせてもらって、本当に出会いですね。オートに出会って、人生が変わったと思います。やっぱり、好きなことをやっていたら、報われるときがあるのかなって。

失敗はあるけど、今の境遇には満足されているんですね。

はい、後悔はしていないです。

お仕事をしていらっしゃる中で、こういう風になりたいというような目標はありますか?

目標ですか?飯塚オートの先導車の方、すごくお綺麗で、ずっと続けていらっしゃるので、そういう方になりたいなって。

飯塚オートの先導の方は、年上の女性ですか?

はい。綺麗に格好良く走れるように、なりたいですね。

今よりも、もっと綺麗に格好良く走りたいと。

はい。まだまだしてみたい、やっていこうって。飯塚オートには、よく見に行っていました。山陽オートの方が写真を撮ってくれるので、それを見て「もうちょっと足が細かったら良かったな」「姿勢をもっと良くしないと」「やっぱり髪の毛はサラサラじゃないと」って…天然パーマなんで、ちょっとそれは無理かなと思うんですけど(笑)

(笑) なるほど、単に走るだけじゃなくて、どう魅せるか?というような研究をされているんですね。

そうですね。やっぱり、不細工が走るよりは、ちょっと小奇麗な子が走ったほうが、お客さまも見てくれるかな、って。山陽オートもちょっといいじゃない、と思ってもらえるかなと。