自分のカラー | 川畑 真弥

(ここで場所を変えて、個室からカウンターへ移動)

本当にまとまらない話ですみません。

いえいえ、いいんですよ。プロフィールの「カメラ」「お店」という順番を拝見して、どこを中心にされているのかな?というのが気になっていたんですけど…お店という基盤が出来てきて、余裕が出てきたことの現われなんだろうな、ということがよく分かりました。

ああ、そうですね。でないと、たぶんFacebookもやってなかったでしょうね。ミーハーだったりするので、スマホに変えたからFacebookもちょっとかじってみようかな、というところから始まって、どっぷり浸かって、そこから広がっているので、本当に余裕の表れですね。ちょっと、今年はお店の敷居をもっと上げようと思っていて。高いイメージがあるので、じゃあそれに見合った接客と店作りに、今年一年で切り替えていこうと。料理もそうですけど、プラス他のものを…という、別の基盤を作ることを目標に立てて、雰囲気作りと、スタッフの教育と…というのを、いま取り組んでいます。

今は接待で利用されることが多いので、光市に来られた都会の方がびっくりされて、「光市にこんなお店があったんだね!」と言われるとすごく嬉しいし、「満月に来たら間違いないよね」と、もっと思われたい。イベントでも、デートでも…先日も結婚前の顔合わせで利用して頂いたので、そういう店作りになってきたのかな、と。すごく良い店作り。

そういう晴れの日に使われるような。

そう、やっぱり記念日とか。結婚記念日に来てくださるとか、そういうことが多いので、良い雰囲気になってきたのかな、と。スタッフも大人なスタッフが増えてきたので、もうちょっと上を目指す努力を。店作りはそうですね。

そちらもやりつつ、カメラもやりつつ。

やります。なので、今はちょうど良いスタンスです。店作りと、カメラと、自分が両方楽しめますもんね。年齢もたぶん、子供も落ち着いてきて…というのもあるのかも知れないですけど、すごく良い時期かな、と思って。歳がいいのかな?

歳がいい?

若い頃は出来なかったことが出来るようになったし、子育ても落ち着いてきたし、落ち着いた考えも持てますよね、この歳になると。だから、いい歳なのかなーと思って、ちょうど。話をしていて「若いじゃん、結局」って思われない歳になってきた。

なるほど。今はすごくバランスが良いですね。

うん、ですね。自分的にも落ち着いている。プラス、青年部というものが、バランスを保ってくれている団体。外に目を向けることが出来る、という。主婦だけではなく、店長だけでもなく、一般のみんなと…という、三つのバランスが保てているので、すごく充実しているのかな、と思いますね。楽しいです。楽しまないと、損ですもんね。

短期的には、お店の敷居を上げていくという目標を、いまお伺いしました。もうちょっと長いスパンで、例えば10年後に、川畑さんの人生がどういう風になっていたらいいな、というイメージはありますか?

いま思っていることが実現して、それを確立させていることですね、10年後は。で、本当にカメラの道でいけたらな、と。硫黄島にも行けて、戦争のことを伝えられる場を作っていたいですね。そういうことをやっている方もいらっしゃるんですよ。戦争の跡地を廻る、というような。それとは違う、私の目線で、自分のカラーを出した写真というものを、確立したいです。ずっと勉強なんですけどね。だから、最終目標はやっぱりカメラですね。

カメラにしても、お店の雰囲気にしても、オリジナリティを出すという部分には、こだわりがありそうですね。

ですね。それが無いと、確立したものが出来ないと思うんですよね。その辺にある居酒屋でいいか…じゃなくて、一般の人が撮るような写真でいいか…じゃなくて、やっぱり自分のカラーが出せるものというのを、お店も写真も、常にそこに向かって行っているつもりです。やっぱり、色が大事かな、と思います。

カウンターに移動してきたら、話の内容が変わりましたね。こちらに居るほうが、力強さがありますね。

ああ、やっぱり仕事モードに入りますね。やっぱりカウンターが好きですね。

そろそろ「美人哲学」というテーマに沿ったお話を伺いたいと思います。健康で気持ちよく生活をするために、気をつけていることや、こだわっていることは何かありますか?

さっきも言ったように「諦めたくない」というのはありますね。歳だから諦める…というのではなくて、綺麗でありたいです。トータルでバランス良く綺麗でありたいな、という意識はずっと持っています。だから、例えば時間がないからノーメイクでコンビニに行くようなことはしないですし、嫌です。自意識過剰かも知れませんが、接客業をしているので、常に誰かが見ている…というスタンスでいるので、スマートでありたいです。だから、そういう格好を意識しています。体型を隠すんじゃなくて、あえて出す格好が好きです。スマートな生き方がしたいです。

基本的に、人前に出るときは常にオンの状態。

うんうん。オフはないです。家に帰って、化粧を落として、始めてオフです。常日頃からオフの顔は見せないように。それを知っているのは、子供と主人ぐらい。あとは、もうずっとオンにしています。なので、すごく疲れますけどね(笑) でも、そうでないと嫌なんです。ノーメイクでサングラスというのも嫌です。サングラスを掛けたとしても、取ったらきちっとメイクしてますよ、というのが好きですね。昔からそうですね。

昔からですか。

私の朝は化粧から始まるので、起きて、化粧をして、初めて一日が始まります。それが休日でどこにも行かないとしても、誰かが来るかもしれない、誰かに会うかも知れない・・・というので、絶対化粧をします。・・・化粧ですかね?化粧は大好きなので。

お化粧大好き。

大好きです。常に研究するんです、どういう風にしたらいいのか。最近はいろいろ付けたりするのが流行ってますけど、いかに自分が持っているものでどうするか、というのを頑張っています。

あまりたくさん付けたり塗ったりするのは好きじゃない?

あまり好きじゃないです。マスカラは使いますけど、つけまつげとかは大嫌いなので、自分自身が輝けるもので居たいなと。

なるほど。かなり長い時間お話を伺ったので、訊きたい話はだいたい訊けました。最後にもうひとつだけ、Facebookのアドレスを「sea.and.cameralife」にされていたので、海についてのお話を訊いてもいいですか?

海はずっと好きで、「海辺に家が欲しいね」とずっと話していて。海の家をやりましたけど、それがきっかけではなくて、主人と付き合っている頃からずっと海が好きです。また虹ヶ浜という場所がすごく良いので。海はいいですね。それこそ、メールアドレスにも「海とカメラ」を入れています。海の写真をずっと撮っていて、ずいぶん前ですけど雑誌「女子カメラ」にも載せて頂いたんですよ。それも嬉しかったですね。自分の写真が載るというのが。もう大自慢ですよね「お母さん載ったよー!」って子供たちに言ったら、「ふーん」みたいな反応で(笑) お母さんは大興奮なんですけどね。その雑誌はきちんと取ってます。ぜひ見てください、井川遥か表紙の号(vol.7)です。

なるほど、チェックしてみます。

私はそんなに写ってないですけどね、子供と歩いている後姿の写真が載ってます。自分が写るのは嫌いなので(笑) 私は自分の写真はあまり無いんです。家族を撮るほうが多いので。だから、遺影とかどうしようかな…と思って。

まだちょっと、その心配は早いんじゃないですか?(笑)

いや、この歳になって、子供が大きくなって、周りで葬式など”死”に触れる機会が多いので、”死”に向かって考えています。

そうなんですか。

葬儀の希望を娘に伝えているんですけど、私は「菊は嫌だ」と。お母さんはガーベラがいいので、棺桶に入れるのはガーベラだけにしてね、と。あと「悲しい曲は嫌だ」と。「福山雅治にしてくれ」と。「お母さんもう死んでるから聞いてないじゃない」と言われるんですけど、死んでも聞いてるかも知れないから、その辺をうろうろしているかも知れないから、福山の曲を流してねと伝えてます。

そうなんですね(笑)

本当はプルメリアが好きなんですよ。でも、南国の花なので、手に入らないかも知れない。だったら、ガーベラがいいですよ、という感じで。夢です、私の…夢じゃなくて、葬儀のときの要望。

理想の葬儀(笑)

”死”については、すごく考えますね。もっと写真を撮っておかないといけないかな、と。残す自分というものを、かたちとして残したいな、と。たくさん撮って、あとは子供がそれを捨てるのか何するのかは自由だけど、「お母さんが撮ったよね」という写真を残しておきたいと。これは戦争の残骸もそうなんですけどね。

なんというか、人の営みというか、生きていた雰囲気みたいなものを、写真を通じて残したい…という思いがあるんでしょうね。

ですね。なんか、あるんでしょうね。それプラス海の写真。海の写真は、ずっと撮り続けたいんで。でも、海も人が居るとベストですね。人と海。何年か前に、海に雪が積もったことがあって、そのときはコンパクトデジカメで撮ったんですけど、すごく幻想的でした。虹ヶ浜に雪が積もるという風景って、あまりないですよね。もう、すぐ子供と行って写真を撮りました。またそういう写真が撮りたいですね。

これはまた別の夢なんですけど、室積に不定休のカフェを作りたいです。勝手に休みたいときに休んで、カメラをしながら、老後を送るのが夢ですね。セルフのカフェで、「勝手に飲んで、お金はそこに置いておいてね。私はカメラで写真を撮るよ」みたいな感じのことがしたいですね。すごくお金持ちになってないと出来ないですけどね(笑) 夢です、すごく夢です。地中海みたいな、白壁の、青い、カフェがしたいです。出来ないですけどね。40歳になる前に実現するかな…と、20代の頃に思っていたんですけど、まあ忙しいですね。

昔からそういうイメージがあるんですね。

歳を取って、主婦の方が溜まれるような、何時間でも自由に居られる、そんな店はしたいですね。一週間休むかも知れないし、来たら閉まっていることもあるかも知れないし…と、絶対商売じゃ出来ないですよね(笑) でも、すごくやりたいですね。のんびりしたい。たぶん、今が忙しいので…だから、今はちょっと走ろうかな、走り続けようかな、と。その夢のために。それこそ、そのときに硫黄島に行けるかも知れないし。いつか実現します、させます。夢で終わらないように、目標を立てて、そこに向かって走っていこうと思います。

忙しくするのも、のんびりするのも、どちらもお好きなんでしょうね。

好きですね。たぶん暇すぎてもダメなんでしょうね。で、忙しすぎてもダメ。忙しい中に、5分でも10分でも海の写真を撮りにいく、というのでも今はOK。一日写真を撮り続けることはなくても、数時間でも表現は出来るので、その空いた時間で行くというスタンスです。で、いつかはずっとそれを出来たらいいな、という感じですね。

[写真・文/OURSELVES 取材協力/bistro & 石焼ダイニング満月]