自分の気持ちで選ばない | 林 里江

”家族”というのが、重要な要素なんですね。単純に「大事にしている」というのとも、また違うような感じがするんですけど…。

逆に、家に居るときは家族と一緒に過ごしたりしないし、嫁に出て2年ぐらいは別々に暮らしていました。一緒に暮らすことになるまでは、あまり実家には帰らなかったし、事あるごとに家族で集まって食事をする、というようなタイプでもないんですけど…でも私の人生は家族の流れに乗っていっているから、そういう意味では家族をメインに考えているのかな?と思いますね。

その感覚が面白いですね。家族関係は親密ではないんですか?

いや、仲は良いですよ。ただ、兄は家を出ていますし、姉は京都に居るので、帰ってきたら盛り上がるんですけど、私は他のみんなが食事に出掛けるときも、あまり一緒に行かないんですよ、一人が好きなので。だから、自分でも良く分からないんですよね、自分のことが(笑)

家族にべったり…とかではないけど、ご自身の価値観や意思決定の決め手になるのは家族なんですね。面白いなあ。

それ以上に、自分のしたいことがないんですよね。例えば、このサロンをやらないといけないときに、「それより私はこれがやりたい!」と押し通したいものがなかったんですよね。で、やり始めたら、やらされている感覚は嫌だから、自分の一生涯の仕事として愛せるものとして、自分にとってそういう存在にしたいから、そのために努力する…というところはありますね。

きっかけは与えられるものだけど、日々やっていくことには能動的に関わっていかないと嫌なんですね。

嫌なんです(笑) やっぱり、楽しいと思うことって、自分が「好き!」と思うことですよね。だから、「好き!」って始めた仕事じゃない場合は、「好き!」になるまでにまずひと頑張りする段階が要るんですけど、この仕事に関しては、そこの過程がすごく楽しかった。すごく頑張ったんですけど、楽しかったんです。

好きになるように頑張るというのは、お仕事をされる以前にも同じような経験はありましたか?

そんなに頑張って好きにならないといけない場面もなかったかな…でも、恋愛って、好きで居続ける努力が必要じゃないですか。それと一緒と思う…と言ったら変だけど、仕事も好きになったら好きになりっ放しで、それで結果が出るかと言ったら、たぶんそうじゃないんですよね。

嫌なこともあるし、離れたくなるときもあるし、やりたくないときもあるんですけど、でもこれぞと決めた人と添い遂げるために、歩み寄ったり努力したりするのと同じように、より好きになるためには、より無くてはならないものにするためにはこうしよう、こういう風に考えよう…と、そういう考え方をするんですよね。

なるほど、言われてみればそうかも知れませんね。そこには一生この仕事をやり遂げる、という前提があってのことなんですね。

そういう思いになったのは、この仕事が初めてです。だから、一生やっていきたいと思いました。

一生やっていけるには、どうすればよいか?と。

そうです。それを今、一生懸命考えています。

今も考えている。

考えています。やっぱり女性の人生は変わりやすいので、私を含めてスタッフみんな、独身だったり結婚していたり子供が居たり…というのがあって。自分をとってみても、「子供が欲しい」と思ったときに、仕事を離れないといけない。例えばスタッフがそういうことになったときに、周りがどういう風にサポート出来るかとか、そういうことをすごく考えます。特に最近は。

やっぱり、お客さまあってのお仕事なので、ずっと一日も欠かさず出勤出来ればいいけど、どうしても事情で離れないといけない、そういうときのお客さまへの対応だとか、そういう体制も整えていかないといけないな、と。最近そう思い始めました。

一緒に働いている彼女たちにも、一生の仕事として、どんなかたちでもいいから、自分のライフスタイルに合わせて、この仕事と一生付き合っていけるような…それこそ今居るみんなと、おばあちゃんになるまで一緒にやっていきたいという思いがあるから、自分も含めてみんながずっと続けられるような環境って、どういう環境なんだろう?というのはすごく考えます。

チームに対する思い入れは強いんですね。

そうですね、強いと思います。私が入った3年前から増えたメンバーなので、私が口説き落とした人もいれば、施術トレーニングをしてスクールに通ってもらって…と、全部ずっと一緒にやってきた人たちで、今もすごく一生懸命頑張っているから、結婚して子供が生まれても、自分の人生を輝かせるための仕事として、一生付き合っていってほしいな、という思いがあるので、仲間に対する思いは強いですね。

チームに対する思いがあって、同時にお客さまに対する思いもあって…

やっぱり扱っているのは商品だったりサービスだったりするんですけど、そこからの出会いを通じて、本当に一生涯のお付き合いが出来るきっかけになる場だと思うんですね。お客さまから一生涯のお友達になることも沢山ありますので、そういう輪がどんどん広がっていったらいいな、と思います。

お客さまとはできるだけ長くお付き合いが出来るように、スタッフさんには今のお仕事をずっと続けてもらえるように・・と。

そうですね、それが出来る仕事だと思います。やっぱり、綺麗になることって、女性にとって効果が絶大なんですよね。だから、綺麗になるということを通じて信頼関係が築けたり、それぞれの人生にとって無くてはならないものになって、そこからまた広がっていくという、広がりがすごく素敵なお仕事なんですよね。

なので、自分がいろいろと…エステだったり、アロマだったり、運動だったり…いろいろなものを持っているのと同じように、皆さまにとってそういうもののなかのひとつとして、ここに来たら綺麗になって元気になるとか、そういう場所でありたいな、と思います。それはスタッフも、お客さまも、みんな。私も、ここに来たらみんなにあえて元気になれる…という、良いやり取りをしていきたいな、と。

ここに関わる人たち、みんなが良くなるように。

そして綺麗になるように。

面白いですね。軸みたいなものははっきり存在しているんだけど、それが見えそうで見えないというか…

私、この仕事に就いて3年経つんですけど、まだ3年なので、まだまだピヨっこなんですよ。

ピヨっこ(笑)

なので、始めたときと、1年後と、2年後と、今って、全然気持ちが違うんですよ。だから、きっとこれからも思いは変わっていくんだろうけど、でも「ずっとここに居たい」という気持ちが軸で、今居るみんなから広がっていって、出来る限りみんなとずっと仲良くしていきたいな、って。それが、女性は綺麗になれば元気になれる…

綺麗になるって、元気になりますよね?例えば、嫌なことがあっても、今日のメイクがのったとか、「肌が綺麗だね」って言われたとか、それだけで元気になるんです、女の人って。彼氏に振られても、です。振られて泣き崩れていても、メイクののりが良かったら、シャキっと出て行けたりするんですよ。それぐらい”綺麗”というのは心も元気にするんですよね。

それを私も、身を持って実感しているので、そういう女性を元気に出来る、綺麗に出来るようなサービスやレッスンをプロフェッショナルに出来たうえで、そこから更に一生涯のお付き合いが出来るような、愛情ある人間関係を築いていけたらいいな、と思っています。そのために「どうしよう」「ああしよう」という感じですね(笑)