人が好き | 岡崎 淳子

(笑) 春代さんの5年後はどうですか?

春代さん 5年後…厳しいなあ、もう60歳前ですよね。今のお客さまは、主人と一緒に歳を取ってきた人が多いので、今主流になっている部分というのは、年齢的なこともあって、だんだん尻つぼみになっていくと思うんです。今はカット&パーマの店、岡崎勉のカットの店というかたちで知られているので、それプラス着付けやまつげエクステなど、他のメニューでも知られているようになっていたらいいな、と思うんですけどね。

カット以外の分野でも、広く知られているように。

春代さん そうですね。全部が良くなるということはないと思うので、減っていく部分を別の部分で…売上というよりは、気持ちやお店の雰囲気が…ちょっと抽象的な言い方ですけど、そういった次元で広がればいいな、と思っています。

なるほど。ありがとうございます。では最後に、お二人が気持ちよく日々を過ごすために、心掛けていることがあれば教えて頂けますか?

春代さん (淳子さんに)お酒ですか?

淳子さん いやー、今ちょっと考えてる。全然無いから(笑)

春代さん そうですね…なんだろう、すぐに飛びつくこと。

すぐに飛びつくこと?

春代さん すぐに情報に飛びつくこと。外面的なことから言えば、人が炭酸パックを始めたと聞いたら、私もやる。ヒアルロン酸を飲んだと聞いたら、私もやる。その中のひとつでもヒットしたら、儲けものかなと。それは、外面もそうですけど、内面もです。良いな、と思うものは真似をしたい。

それは、ご自身に合うかどうか、ということですか?

春代さん そうですそうです。友達と話していて、「あ、見かけと違ってこういう面を持っているんだ」と自分が思ったときに、言葉遣いを真似たり、その人の生き方を真似たり。で、無理があれば続かない、だけどそれを吸収できれば、それが自然な振る舞いになる。そういう面では、影響を与えてくれた方は、かなりいらっしゃるんですよね。

だから「人の真似をする」というと良く聞こえないかも知れませんが、人を真似るのも大事なんだな…というのは、50歳を過ぎてから、すごく思います。

もうこの歳まで生きていたら、周りから左右されない”自分”というのは、必ずあるわけじゃないですか。だから、一本それがあるから、今はどこにどう枝葉を付けていくか、ですよね。60、70、80歳になるまで、その枝を…人生って、下駄を履くまで分かりませんよね。だから、自分が歳を取ったときに、その枝が沢山あればいいな、と思いますね。

なるほど、ご自身という幹がしっかりあるから、色々なことを吸収できる。

春代さん 吸収していきたい、ですね。今からは。どんなことでも。だから今は、美容関係でもやっていることは多いですよ。それで夜が終わってしまうぐらい(笑)

そんなに(笑) 一度に色々やられるんですか?

春代さん まあ、ちょっと大袈裟ですけど(笑) 「これがいいよ」と言われたら、一度は試してみる。若い頃と違って、拒否はしないようになりました。

若い頃は拒否されていたんですか?

春代さん そうですね。結構、人見知りで閉鎖的だったんですよ。接客業をやっておきながら人見知りで、受け入れるのに時間が掛かっていたんです。だけど、その壁も人を真似るということで、人の良いところを見るという、そういう目が開かれてきたというか。だから、この仕事に就いてありがたかったな、と思いますね。良いおばあちゃんになるために、今はしっかり枝葉を伸ばしていきたいですね。女として、上手に歳を取っていきたいです。

なかなか深いですね…そこを意識していらっしゃると。

春代さん はい。だから炭酸水を買ってきて、風呂上りに体に掛けてみたりとか。

飲むのではなくて?

春代さん 掛けるんです。炭酸が毛細血管を刺激して。

血行が良くなったり?

春代さん そうそう(笑) それをすること自体も良いんだけど、自分の中では…人からいいよと言われて、それを真似てみようという気持ちが、大切なんだと思うんですよ。そういう人間になれたんだな、と思います。真似するって良いことなんだなって、この歳になって悟ったような…否定する方もいらっしゃると思いますけどね。

今の年齢になって、自然とそういう考え方になってきた。

春代さん なってきました。若い頃は、ずっと「とっつきにくい」とか「話し掛けたらいけないのかな」と、言われ続けて来たんです。未だに接客は苦手ですね。羨ましいですもん、この子を見て。「なんでこんなにお客さまと喋れるんだろう?」って(笑) 主人もそうなんですけどね。だから、(淳子さんは)師匠であり、神です(笑)

淳子さん 嫌だー(笑)