手に人生が出る | 千々松 葉子

ですよね(笑) 同業者トークは、また日を改めてじっくりしましょうか(笑) ちょっと話を戻して…もともと学校を選ばれたときは、建築というアプローチでのまちづくりというところからスタートされて。

そうですね。あまり難しく考えてなくて、まちづくりといったら建築か土木だと思っていたので、なんとなく橋とかだったら建物とか景観だな…という感じで。それが、建築だけどIT系に行って、まちづくりのコンサルタントだけどシステム要員になって、寝袋と共に生活し…。

全体を通してみると、やっていらっしゃることは、当初の思惑からちょっとずつずれていっている印象ですが…

NPOは課題に対して活動しているじゃないですか。「まちづくり」というハードではなくソフトの面で活動が政策に繋がって、みんなの生活をより良くしていく、未来に繋げていく。NPOさんの活動を支援したりすることが、自分の中でのまちづくりの応援だと思っていています。

2年前に起業塾みたいなものを受講したんです。そのなかで「自分が事業をしたいのではなくて、そういう人を応援したいんだ」ということが分かりました。NPOさんをサポートする情報発信だし、システム開発だし…ということを考えて活動しています。

大きな枠では、やっぱりまちづくりなんですね。

そうですね。システムを作っていた会社員時代から、今もシステムを作っているし、やっていることはずっと一緒ですね。ただ、プログラムではない部分で、チラシの作り人とかブログの情報発信とか、もうちょっとNPOさん向けのいろいろなことを考えるようになりました。それも最初はボランティアだったんだけど、それが仕事に繋がってきたというのは、ちょっと新しい部分ではありますね。

で、NPO法人さんとの関わりから、企業さんのお仕事を頂いたりもしていて…そこで知り合った人とは、ボランタリーな活動で知り合っているから、私のことを理解したうえでお仕事をくださっているので、こどもが居るから夕人以降は電話に出にくいとか、出ても後ろがうるさいとか…普通は「そんな人に発注しても大丈夫?」というような状況であっても、安心して任せてもらえる良さもあります。

とはいえ、仕事に繋げようと思ってやっているわけではないので、やっぱり団体さんへの興味だったり、共感だったり、活動への敬意がないと出来ないです。山口はいろいろな団体さんがあってすごい。こんなに好きになるサポートしたい団体さんが多いなんて、私、惚れっぽいのかな?と思いながら(笑)

28団体ともなると、取り組みも多様ですよね。

そうですね。たぶん、自分がどこかに所属して、何かをしているわけではないので、そのぶん本当に純粋にすごいなって思える。なんというか「経営者になりたいのではなくて、経営コンサルタントになりたい」というようなかたちで、「NPOの活動をする人になりたいのではなくて、活動している人を応援したい」です。

そういう風に、第三者的な視点で関われる人は、NPO法人さんにとっても必要なんじゃないかな?と思います。

そうですね。「NPOの中間支援」になるのかな?と思います。ちょっと話は脱線するんですけど…(しばし県内の同業者話で盛り上がる) WEB一本でやっていくのは難しいですよね。私も8年前に帰ってきてた頃いろいろな人に会ったけど、残っている人は、何か強みがあって、WEB系だけど+αで何かをされている人ばかりです。

そうでしょうね。業務知識だったり専門分野だったり、そういうものがないと…ただ「WEBサイト作ります」では、なかなか仕事がないですね。

今は特に、ネットや本で調べたら、なんとなくホームページは作れてしまうので。でも、それだけでは残っていけないから、やっぱり何かしら+αを持っている人が残ってるな、と感じます。私はプログラム自体も好きなんです。処理速度が速くなったとか、何かが改善できたとか。なので、やっぱりシステム(WEB)+αというかたちで、今後も仕事をしたいと思っています。

なるほど。2008年から個人事業でやっていらっしゃるんですよね。

「パインワークス」という屋号を取ったのは2008年なんですけど、個人で仕事をしているのは2005年からなので、8年目ですね。

もうすぐ10年ですね。これから10年、20年とお仕事をされていくなかで、たぶんお仕事はお好きだと思うんですけど…

もう、すごく好きです。小学校6年生のときの将来の夢に「キャリアウーマン」って書いたんです(笑)

そうなんですか?(笑)

そうなんです(笑) 覚えてるんですよ。

それは、目指す人や影響を受けた人が居たんでしょうか?

祖母の一人は80歳を過ぎた今でも毎日畑に出ていて、もう一人は70歳を過ぎてもずっと印刷工場に立ち続けていた。「働く女性」というのが当たり前で、働くことの尊さみたいなものを感じていたんです。ゴツゴツした手が尊い、というような…働く姿と、働く手が尊い、というようなことを、こどものときに感じていました。ずっと働いていきたいというのは、祖母への憧れというのがありますね。

よく「手に人生が出る」と言うけど、私もゴツゴツした手が好きなんですよ。手には、その人の苦労だったり、してきたことが出るから。「すごく仕事をしてきた、いい手だな」と、祖母ことを思っているので、私もそうありたいな、と思います。

今後、ご自身がずっと働いていくなかで、将来的に「こうありたい」というイメージはありますか?

そうですね、10年後は…今まではNPOメインですが、地域のコミュニティ、中山間の人と一年前から関わるようになりました。地域や団体さんの可能性を感じているので、今までNPOメインで関わってきて5年だけど、これからは中山間地域や地域コミュニティにも関わっていく5年にしていって、そこで専門性も高めて「まちづくり」に関わる10年にしていきたいです。

[写真・文/OURSELVES 取材協力/FRANK]